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これからの法改正の動き

ストレスチェックの実施が全事業場で義務に

厚生労働省の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」から、中間とりまとめ案が提示されました。
現在、常時雇用する労働者が50人未満の事業場においては、ストレスチェックの実施は努力義務とされています。今回のとりまとめ案では、ストレスチェックを実施する場合の労働者のプライバシー保護については、外部機関の活用等により、対応可能な環境は一定程度整備されていると考えられることから、ストレスチェックの実施義務対象をすべての事業場に拡大することが適当であるという、今後の方向性を打ち出しています。

外部委託を推奨

ただし、50人未満の事業場においては、産業医がおらず適切な情報管理等が困難な場合もあるので、原則として、ストレスチェックの実施は労働者のプライバシー保護の観点から外部委託することが推奨されるとしています。
また、現行の50人以上の事業場における実施内容を一律に求めることは困難なことから、50人未満の事業場に即した現実的で実効性のある実施内容を求めていく必要があるとしています。衛生委員会等の設置義務がない50人未満の事業場においては、労働者が安心してストレスチェックを受検できるように、関係労働者の意見を聴く機会を活用することが適当であるともしています。
そして、ストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告義務については、一般健診と同様に、事務負担軽減の観点から課さないことが適当であるとしています。

職場環境改善の義務化について

併せて「ストレスチェックの集団分析結果を活用した職場環境改善の義務化」の実施の是非についても、方向性が示されています。義務化すべきとする意見も見受けられたものの、現時点では事業場規模にかかわらず義務化することは時期尚早であり、引き続きの検討課題としつつ、まずは適切な取組みの普及を図るべきであるとしています。
厚生労働省は、このとりまとめ案の検討を進め、今後、労働政策審議会の安全衛生分科会で、労働安全衛生法の改正案についての具体的な内容を協議していきます。

注目したい法改正の動向

  • 就活生をハラスメントから守れ
  • 労使の代表者らが入る労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、男女雇用機会均等法を改正し、就職活動中の学生に対するセクハラについて企業に対策を義務づける方向性について、大筋で合意に至りました。
  • NTTの将来を議論
  • 情報通信審議会通信政策特別委員会の3つのワーキンググループ・作業部会が、ユニバーサルサービスの最終保障提供責務の見直し、外資規制の維持など、NTT法の見直しに関する報告書案をまとめました。
    情報通信審議会としてのとりまとめの結果を踏まえ、次期通常国会で改正法案が提出される見込みです。
  • 空港の安全確保
  • 国土交通省が新たに「グランドハンドリングにおける安全監督体制の強化に向けたワーキンググループ」を設置しました。
    空港の荷物運搬などの地上業務を受託するグランドハンドリング事業者に対して、国がその業務を監督する仕組みがないことから、有識者を交え、航空法等の改正も視野に入れた安全監督体制の制度的措置を検討します。
  • 安心できるデジタル環境を
  • 総務省は「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」を立ち上げ、インターネット上のなりすましなどの偽・誤情報対策など、様々な諸課題への法改正を含めた制度整備などのさらなる検討を開始しました。
  • 脱炭素化のための検討
  • カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立(GX)のため、二酸化炭素の排出量取引制度についての検討が行なわれています。
    経済産業省と環境省の「GX実現に向けた排出量取引制度の検討に資する法的課題研究会」が報告書案をまとめました。憲法上、行政法上、民事法上などの論点が整理され、この報告書を踏まえて関連法の改正に向けての議論が進められます。

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック

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